福祉制度について

就労継続支援a型とb型の違いは?それぞれの特徴と対象者を解説

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\ この記事の監修者 /
この記事の監修者:中西 安香音/社会福祉士
大阪府で「社会福祉士」として障害福祉の現場に従事しています。日常的な支援経験から障害のある方のお悩みや福祉制度について詳しく解説していきます。

 

今回は、「就労継続支援でもa型・b型」の2種類がある中は結果的にどう違うのか?

よく似た名前で難しい、自分がどこに向いているのかわからないと言う方に向けて

実際にそれぞれの特徴と対象者をなるべくわかりやすく解説いたします。

就労継続支援a型b型とは、障害者総合支援法に基づく訓練のためのサービスの一つです。

訓練のためのサービスは全部で6つあります。

  • 自立訓練(機能訓練)
  • 自立訓練(生活訓練)
  • 宿泊型自立訓練
  • 就労移行支援
  • 就労継続支援a型
  • 就労継続支援b型

今回はこのうちの二つ。就労継続支援a型とb型の違いを比較し

a型b型のメリットやデメリットについて詳しくご紹介させていただきます。

就労継続支援a型とb型の違いは!?【大きな違いは雇用契約の有無】

就労継続支援のa型b型は障害がある方が働く場所ですが、

それぞれ、目的や雇用契約の有無、対象者、収入の面で大きく異なります。

  • サービスの内容
  • 雇用契約の有無
  • 対象年齢
  • 給料(工賃)

 

以下の表に一覧をまとめました。

 

就労継続支援a型

就労継続支援b型

サービスの内容

企業等に就労することが困難な障害のある方に対して、雇用契約に基づく生産活動の機会の提供、知識および能力の向上のために必要な訓練などを行うサービス

通常の事業所に雇用されることが困難な就労経験のある障害のある方に対し、生産活動などの機会の提供、知識および能力の向上のために必要な訓練などを行うサービス

雇用契約の有無

あり

なし

対象者年齢

65歳未満の方(利用開始時65歳未満の方)

定めなし

給料(工賃)

給料

工賃

平均月収

81,645円(令和3年度大阪)

16,369円

 

さらに1つずつ詳しく以下で解説していきます。

就労継続支援a型とb型のサービスの内容について

就労継続支援a型は、一般の企業などで働くことが困難な障害がある方に対して、a型事業所と雇用契約を結んだ上で働くことができるサービスです。

就労継続支援b型は、雇用契約を結ばずに障害や体調に合わせてご自身のペースで利用ができ、工賃がもらえるサービスです。

このように、大きな違いとしては雇用契約を結ぶか結ばないかということになります。

ここから就労移行支援や一般雇用との違いを解説していきます。

就労移行支援や一般雇用との違い

就労移行支援は、1人では就職することが困難な障害がある方が、一般就職するために必要なスキルや、自己理解を深める訓練を受けられるサービスです。

就職するための訓練がメインになりますので、原則給料や工賃などは発生いたしません!

またそもそもの利用目的も異なりますので、移行支援と継続支援の違いを知りたい方は、

参考:就労移行支援と就労継続支援支援の違いは?【対象者や利用条件の違いを解説!】

こちらの記事をご活用くださいませ。

就労という面で一般雇用とも何が違うのか?についてですが一般雇用は、一般企業への就職となります。

障害を伏せて就職する場合(クローズ就労)や、障害を開示して働く(オープン就労)場合があります。

求人は

  • 一般求人(正社員・アルバイト等)
  • 障害者枠求人
  • 特例子会社の障害者枠求人

などがございます。

これらのサービスを利用する流れとしては

1.一般就職を目指して、1人ではなかなかうまくいかなった場合

2.就労移行支援を利用し、就職活動などのサポートを受ける

3.それでも就職が上手くいかなかった場合

4.就労継続支援a型を利用し就職する。

5.a型での仕事が難しい場合は

6.就労継続支援b型を利用する。

 

このような流れになっています。

この後、a型やb型についてそれぞれ詳しく解説いたしますので、ご自身に合ったサービスを見つけるきっかけになれば幸いです。

 

また、もっと詳しく就労移行支援事業所について知りたいと言う方は【就労移行支援とは?】対象者や利用方法、かかる費用などを解説!の記事にて、対象者や利用料金など詳しく解説しておりますので合わせてお読みくださいませ。

 

就労継続支援a型とは?

就労継続支援a型は上の表や流れで解説した通り、就労移行支援事業所などを利用したけども、一般雇用が決まらなかった方やいきなり一般雇用で働くのは自信がない方などが、

実際の障害者枠求人よりも更に配慮を受けられる環境で働きながら社会参加を行う就労支援施設です。

また、もっと詳しく就労移行支援事業所について知りたいと言う方は

参考:大阪の就労継続支援a型で絶対おすすめな事業所を紹介!【2024年度最新版】

の記事にて、おすすめの事業所や利用期間、給与、仕事内容など詳しく解説しておりますので合わせてお読みくださいませ。

就労継続支援a型はどんな人が使うべき?

就労継続支援a型が自分に向いているのか?a型を使うべきなのか?

向いている人や使うべき人の特徴をご紹介します。

客観的に見て自分にも当てはまるかどうか、就労継続支援a型に向いているのかを再確認してみてください。

就労継続支援a型は、支援を受けながら実際の仕事をし、給料をもらえるという特徴があります。

 

ですので、

 

  • 今すぐに企業で働くのは難しい方
  • 一般就労に不安がある方
  • 支援が必要な方
  • 社会参加したい方
  • 給料をもらいながら訓練を受けたい方

 

これらに当てはまる方におすすめといえます。

 

ただし、雇用契約を結ぶ必要があるため、面接や履歴書提出などもありますし、

週1日から働けるというわけにはいきません。

雇用契約を結ぶのが難しい段階の方は、この後ご紹介する、就労継続支援b型がおすすめとなります。

就職のために集中して訓練を受けたい方は就労移行支援、

まず生活や体調を安定させたい方は自立訓練、

というふうに自分自身の状況に合わせた障害福祉サービスを利用しましょう。

 

就労継続支援b型とは?

就労継続支援b型は上の表や流れで解説した通り、就労移行支援事業所や就労継続支援a型などを利用したけども、安定して通所ができなかったり、

訓練内容が合わなかった場合に、就労継続支援a型よりも更に配慮を受けられる環境で働きながら社会参加を行う就労支援施設です。

また、もっと詳しく就労継続支援b型について知りたいと言う方は

大阪で圧倒的におすすめな就労継続支援b型作業所を厳選【2024年最新版?】

の記事にて、おすすめの事業所や対象者など詳しく解説しておりますので合わせてお読みくださいませ。

就労継続支援b型はどんな人が使うべき?

就労支援事業所での訓練期間中に、利用期間中に体調などが安定せず、週1~3日程度通所だった場合は就労継続支援b型がおすすめです。

就労継続支援b型の場合は事業所との雇用契約を結ばないため、仕事の内容や、時間などに融通が利くことから、体調などご自身のペースに合わせて通いやすいといった特徴があります。

就労継続支援a型・b型のそれぞれのメリット・デメリット

就労継続支援a型とb型の違いはそれぞれご理解いただけましたでしょうか。

ここからはa型やb型に通うことのメリットやデメリット、問題点などをご紹介します。

ご自身の状況や体調にあった事業所選びの手助けになれば幸いです。

 

就労継続支援a型のメリット

では、早速ですが就労継続支援a型のメリットを見ていきましょう!

就労継続支援a型を利用するメリットは以下の通りです。

  • 毎月最低賃金以上の給料を受け取れる
  • 職業指導員の支援を受けながら働ける
  • 雇用契約を結びながら一般企業での就職を目指せる
  • ITやWeb関係で未経験でも働ける
  • 就職についてのアドバイスやカウンセリングを受けられる
  • 一般就労に近い形での訓練を受けられる

上記のように、就労継続支援a型では、事業所と雇用契約を結んで働くため、

各地域の最低賃金が保障されており、安定した収入を得ることが見込めます。

また、仕事面において職場にはプロのクリエイターなどの職業指導員が常時いるため、PC操作未経験でもフリーランスやITやWeb系の就職を目指すことができます。

そのうえで、障害福祉サービスでもあるため、

個人の適正や特性などを考慮し仕事の内容や業務量の調整も行います。

残業や休日出勤などもないため、無理なく働けることもメリットの1つです。

また、事業所で実務経験を積み、ポートフォリオなどを作成し一般就労や、フリーランスなどでの就労へ移行も目指せます。

 

就労継続支援a型の問題点・デメリット

つぎに、就労継続支援a型のデメリットについて言及していきます。

  • 業務や職場の数が限られている
  • 事業所によって業務内容が異なる
  • 一般企業へ就職するための訓練や学習に集中できない

先ほどのメリット全てを受けられる事業所は人気が高く、特にIT系やWeb、動画編集などのスキルを1から学びたい方は多くいるため、

競争率が高く、就労継続支援a型なのに実務経験やスキルを求められる場合があります。

 

実務経験やスキルがない場合は、HPに掲載されている動画編集やホームページ制作ではなく、

事業所の状態によってはデータ入力などのデスクワークや商品の梱包作業をさせられたという話もあります。

 

また、就労継続支援a型は時給が発生しているため、業務外のポートフォリオ制作や、就職活動の補助がありません。

そのため、一般企業やフリーランスといった社会参加を目指される場合には、自宅で就職活動などの書類準備を行うか、

就労移行支援へ切り換えるなどが必要になる場合があります。

就労継続支援b型のメリット

次に、一般的には「作業所」の名称でしられる就労継続支援b型のメリットについて見ていきましょう

  • 就労継続支援a型での雇用契約が難しい場合、利用することができる。
  • 将来的に一般企業への就職や就労継続支援a型、就労移行支援を利用するためのステップアップに利用できる。
  • 雇用契約を結ばないため、ある程度自由な働き方ができる。
  • 利用期間や年齢に縛りがない。
  • eスポーツなど幅広い分野がある。

これらのメリットがあります。

障害福祉サービスの位置付けとしては、週に5日訓練や働くことは難しいが、社会参加したい方に向けたサービスとなっています。

b型事業所からa型事業所を目指す方や、b型事業所で生活リズムを整えてから就労移行支援などを利用される方がいらっしゃいます。

就労継続支援b型の問題点・デメリット

就労継続支援b型の問題点・デメリットとしては

  • 一般企業やa型事業所で働いた場合と比較すると給料が少ない
  • 一般企業で働きたいと考えている場合、就労移行支援と比べるとサポートが不十分な点がある
  • 人気のあるb型事業所だと新規利用者募集を行っていない場合がある

工賃の金額が低く、就労継続支援b型事業所で作業をしている収入だけでは生活をするには不十分です。

工賃についても、一日分の工賃として固定額を決めている事業所や、作業した分に対してのみ支払う事業所もあり、対応が様々です。

 

また、就労継続支援b型での作業内容は軽作業などが一般的で、単純作業が多いです。

そのため、単純作業にあきてしまったり、就労移行支援や一般企業への就職につながるスキルが習得できてないと感じたりする方もいます。

 

就労継続支援a型やb型の賃金では生活できない?

結論から言うと、就労継続支援a型や就労継続支援b型の賃金だけでは生活できないことが多いです。

 

こちらが令和3年度の平均賃金表です。

参考:厚生労働省公表データ(外部サイト)

就労継続支援a型では最低賃金は保障されていますが、最低賃金以上の給料や、労働時間などが少ない場合がほとんどです。

ですので、これだけでは生活ができず実家に住まれているか生活保護や障害年金などを受給しながら利用されている方が多くいます。

障害年金を受給しながら利用できる

障害年金を受給されている方でa型やb型事業所を利用する場合は

  • 障害年金が停止になる?
  • a型事業所の給料と障害年金で合わせていくらぐらいになるの?

などの疑問が出てくるのではないでしょうか。

 

まず、障害年金には所得による支給制限が定められていますが、

就労継続支援a型で働いていても、障害年金は停止されません。

ですので、障害年金を受給していても問題なく利用ができます。

 

支給制限の詳細は以下をご覧ください。

所得による支給制限
前年の所得額が4,721,000円を超える場合は年金の全額が支給停止となり、3,704,000円を超える場合は2分の1の年金額が支給停止となります。

引用:20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等│日本年金機構

 

就労支援a型やb型の収入源と合計でいくらになるのか

就労継続支援a型事業所の給料が平均が83,551円

 

障害基礎年金の年間支給額は

障害基礎年金1級993,750円

障害基礎年金2級795,000円

となっています

月額で計算すると

障害基礎年金1級では82,812円

障害基礎年金2級では66,250円の支給額になります。

 

障害基礎年金1級と就労継続支援a型事業所の給料を両方を合わせると

83,551円と82,812円で月額166,363円になります。

 

就労継続支援a型事業所の出勤日数や、各都市ごとの最低賃金にもよりますが、

給料と障害年金の合計で月に約14~15万円の収入が得られる計算になります。

 

このことから、金額面だけを見ると

1人暮らしは可能だといえます。

 

ただし、体調不良などで仕事を休んでしまうと、収入が減ってしまいますので

一人暮らしなどを検討されている方は現在の体調などもしっかりと計算に入れて

余裕をもって考えてみてください。

 

就労継続支援a型の最新の事例は?おすすめの事業所をご紹介

a型事業所の最近の事例としては、将来的には一般就労や、フリーランスなどを目指し徐々にステップアップできる環境が徐々に出てきています。

以前では

  1. 商品の梱包や発送
  2. 清掃
  3. 飲食店での接客・調理
  4. パソコンでのデータ入力
  5. お菓子やパンの製造

これらのような、基本的には軽作業などの簡単な作業がメインでした。

 

ですが、最近では

  • インターネット販売(マーケティングや梱包作業、ピッキング作業など)
  • インターネットオークション代行作業
  • SNSの運用代行
  • パンフレットやチラシなどのDTPデザイン
  • ホームページなどのランディングページ作成
  • 構成業務
  • 動画編集、画像編集
  • 会計業務

などの専門性のあるスキルを学べる事業所が増えてきています。

従来のa型事業所では同じ清掃などの作業を行うため、体力的にきびしくなってしまったり、高齢になってからの行き場がなくなってしまうケースがありました。

おすすめの就労継続支援a型事業所について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

参考:大阪の就労継続支援a型で絶対おすすめな事業所を紹介!【2024年度最新版】

 

就労継続支援b型の最新の事例は?おすすめの事業所をご紹介

b型事業所では比較的軽作業が多く

  • 製品の包装や梱包の作業
  • パソコンを使って簡単なデータ入力
  • 清掃
  • お菓子や、パンなどの製造
  • しいたけ栽培などの農作業
  • 衣類のクリーニング
  • 手工芸品の作成
  • ピッキング作業

このような作業がメインとなっていました。

 

ですが、最近では

  • 工賃が高い事業所
  • IT・Webに特化した事業所
  • 3Dモデリングやライティング
  • 飲食店で働くことを目的とした作業
  • ドライフラワーの作成や販売
  • eスポーツや動画編集やゲーム配信

などの今までなかった働き方ができる事業所が増えてきています。

 

週1日から自分のペースで無理なくスタートができ、

あなたの働きたい意欲や好きなこと、得意なことを活かし活躍できる事業所が増えてきています。

 

おすすめの就労継続支援b型事業所について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

参考:大阪で圧倒的におすすめな就労継続支援b型作業所を厳選【2024年最新版】

 

就労移行支援や就労継続支援などができた経緯は?


2006(平成18)年4月から施行された、障害者自立支援法によって、

  • 「就労移行支援」
  • 「就労継続支援a型」
  • 「就労継続支援b型」

等の事業が創設されました。

これらは、障害のある方の「就労支援」を大きな目標としており、福祉制度からの就労支援を充実させるため、福祉分野と雇用・教育分野との連携を強化する事で

障害をお持ちの方が特性に応じた、就労を行う事が出来るよう障害者自立支援法に基づき施行されたことが「就労支援施設」設立の経緯となります。

これらの制度や取り組みによって、今後も障がいのある方の就職率が上がり、個性を尊重しながら働くことができる時代になる事が期待されますす。

まとめ

今回は、就労移行支援と就労継続支援(A型/B型)の違いについてお伝えしました。
2つの福祉サービスは目的が異なるため、対象者や賃金の有無などが異なります。

大きくまとめると

就労移行支援・継続支援A型・継続支援B型においては

  • 対象とされる利用者の層が違う
  • 利用目的が違う
  • 利用条件が違う(年齢・利用期間)
  • 賃金の有無や金額が違う

など様々な違いがあります。

「工賃がもらえると思っていたけれど、就労移行支援事業所ではもらえなかった!」などと後から食い違ってトラブルにならないようにしましょう。

上記でご説明した就労移行支援と就労継続支援の違い、
就労移行支援には何があって何がないのか、就労継続支援には何があって何がないのか。

サービスを利用するにあたって、重要な点はしっかりと押さえてもっと詳しい内容や気になる事業所があれば
直接事業所に連絡をしてみて、気になっている旨を伝えましょう。
事業所に行って見学や支援員の方と相談もできますので
一度問い合わせてみるのも良いかもしれません。

直接、事業所に行くのが難しい方でもリモートなどの案内もございますので是非、相談してみてください。

違いをよく把握し、自分に必要な支援を行ってくれる事業所を選んで支援サービスを受けるようにしましょう。